栄養成分のうち、たんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルをまとめて五大栄養素といいます。
また、第6の栄養素とも呼ばれる「食物繊維」の存在は、よく知られています。
食物繊維とは、炭水化物に含まれる成分で、消化吸収されずに消化器官内を通過するものです。
テレビでも食物繊維入りサプリやドリンクなどが紹介されています。
これらの働きの違いと、それぞれの食物繊維がたっぷり入った野菜を紹介します。
お腹の調子を整えたいときはもちろん、ダイエット中の食事にもおすすめです。
ぜひ、普段の食事に取り入れてみてください。
食物繊維
食物繊維はもともとエネルギー源になる栄養素がないため価値のないものとして見られていました。
しかし、近年では健康維持促進に有効であることがわかり、その重要性が見直されています。
食物繊維は水に溶ける水溶性食物繊維と水に溶けない不溶性食物繊維の2種類に分類されます。
水溶性は血糖値の急激な上昇を抑え、コレステロールの吸収も抑えるといわれ、不溶性は腸を刺激して便秘解消などに有効といわれデトックス効果が期待されます。
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の違いとは?
食物繊維は体内の消化酵素で消化されず、そのまま排出される成分で、「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の2種類があり、それぞれ働きが異なります。
1.水溶性食物繊維
水溶性食物繊維は、水に溶けやすい食物繊維のことです。
果物、野菜に多く含まれるペクチンやこんぶ、わかめなどの海藻類に多く含まれるアルギン酸、生のこんにゃく芋に含まれるグルコマンナンなどが水溶性に分類されます。
水溶性食物繊維は水分保持力が強く、水に溶けるとドロドロのゲル状に変化します。
この粘性が、ダイエットに効果を発揮します。
炭水化物(糖質)の消化・吸収を緩やかにし、血糖値の急上昇を防ぐ効果やコレステロールなどの余分な脂質を吸着し、排出するなど、体への吸収を抑制する作用があります。
また、腸の粘膜を守る効果、善玉菌を増やす効果もあり、整腸作用があります。
2.不溶性食物繊維
不溶性食物繊維は水に溶けない食物繊維で、胃や腸で水分を吸収し大きく膨らみます。
これにより、便のかさ増しや、腸を刺激して蠕動(ぜんどう)運動を活発にし、便通を促進します。
体にとって有毒な、ダイオキシンなどの物質を排泄するデトックス効果もあります。
食事には野菜やきのこ、海藻、豆類を多く取り入れるほか、お米は玄米、白米なら麦など雑穀を混ぜて炊く、パンは全粒粉に変えるなど、少しずつでも意識的に取り入れるとよいでしょう。
不溶性食物が多く含まれる食品は、繊維質の食べ物が多く、よく噛まなければならないものばかりです。
そのため、食べすぎを防ぎ、満腹感を得られやすいというダイエット効果があります。
なお、不溶性食物繊維を多く取ると、便が硬くなることもあります。
水分をたっぷり摂るようにしましょう。
食物繊維を多く含むオススメの野菜
日本食品標準成分表(文部科学省HP掲載)の可食部100gあたりの食物繊維の数値を表しています。
1.キャベツ
食物繊維 | 水溶性 | 0.4g |
不溶性 | 1.4g | |
総量 | 1.8g |
キャベツは、ビタミンCや食物繊維が豊富なほか、キャベツ特有のビタミンU(別名キャベジン)も多く含んでいます。
熱に弱いので、生食で食べやすい春キャベツが効果的に栄養分をとることができます。
また、ビタミンCやカルシウムは外側の葉と芯の近くの葉に多いので、芯まで残さず使い切りましょう。
2.アスパラガス
食物繊維 | 水溶性 | 0.4g |
不溶性 | 1.4g | |
総量 | 1.8g |
グリーンアスパラガスの栄養成分として見逃せないのがアスパラギン酸です。
他にも、β-カロテン、ビタミンA、B1、B2、C、Eなども多く含みます。
一方、ホワイトアスパラガスは日光に当たらないため、栄養価は低く、ビタミンCが少し含まれている程度となっています。
3.セロリ
食物繊維 | 水溶性 | 0.3g |
不溶性 | 1.2g | |
総量 | 1.5g |
セロリはβ-カロテン、ビタミンB群、食物繊維などの栄養素が豊富です。
よく使われるのは茎の部分ですが、実は葉には茎の2倍のβ-カロテンが含まれるといわれているので使うようにしましょう。
4.レタス
食物繊維 | 水溶性 | 0.1g |
不溶性 | 1.0g | |
総量 | 1.1g |
レタスはシャキシャキっとした食感がおいしく生食できるので、栄養分を損なうことなく摂取することができます。
葉は包丁で繊維を断ち切ると栄養が流出しやすくなるうえ、包丁の鉄で酸化するので、手でちぎるようにしましょう。
主な栄養素は、β-カロテン、ビタミンC、E、カルシウム、鉄、カリウム、食物繊維などです。
生食でもおいしいですが、量を多く食べることができません。
食物繊維などを摂りたい場合には、油でサッと炒めるとカサが減って量もたくさん食べられるようになります。
5.とうもろこし
食物繊維 | 水溶性 | 0.3g |
不溶性 | 2.7g | |
総量 | 3.0g |
とうもろこしは、野菜の中ではカロリーは高めで糖質が主成分で、エネルギーの補給源となります。
米、麦に並ぶ世界三大穀物です。
胚芽部分にはビタミンB群を豊富に含み、ビタミンEやカリウム、カルシウム、マグネシウムなどをバランスよく含む栄養価の高い野菜です。
また、粒の皮はセルロースという不溶性の食物繊維でできています。
胚芽部分にはビタミンB群を豊富に含み、ビタミンEやカリウム、カルシウム、マグネシウムなどをバランスよく含む栄養価の高い野菜です。
また粒の皮は、セルロースという不溶性の食物繊維でできています。
6.もやし
食物繊維 | 水溶性 | 0.1g |
不溶性 | 1.2g | |
総量 | 1.3g |
食物繊維が大変豊富で、溶性、不溶性のどちらも含んでいるのが特徴です。
豆にも芽にも含まれていますので両方摂ることをおすすめします。
また、このほかにもビタミンCやカリウムなども含んでおり、さらにカロリーも低い野菜です。
7.たまねぎ
食物繊維 | 水溶性 | 0.6g |
不溶性 | 1.0g | |
総量 | 1.6g |
たまねぎを切るときに目がしみる要因の硫化アリル。
その一種であるアリシンが体内でビタミンB1と結合するとアリチアミンとなり、吸収を高めます。
ただし、水溶性のため、食べるときには水に長時間さらしすぎないように注意しましょう。
たまねぎ自体の栄養価は決して高くないですが、栄養素の吸収を助ける成分を多くんでいるのが特徴です。
8.ごぼう
食物繊維 | 水溶性 | 2.3g |
不溶性 | 3.4g | |
総量 | 5.7g |
ごぼうは食物繊維の量に注目です。
100g中5.7gは、野菜の中でも群をぬいて多く、食物繊維が不足しがちな現代人にはありがたい野菜です。
皮にもたっぷり含まれているので、むかずにたわしでこすり洗いしたり、包丁の背でこそげとるのがオススメです。
また、ごぼうに多く含まれる食物繊維(リグニン)は切り口が大きいほどよりたくさん採れるので、ささがきが最適です。
野菜に含まれる食物繊維はその多くが水に溶けにくい性質ですが、ごぼうの場合は水に溶けにくい性質の食物繊維と、水に溶ける性質の食物繊維の両方を多く含んでいます。
9.さつまいも
食物繊維 | 水溶性 | 0.9g |
不溶性 | 1.8g | |
総量 | 2.8g |
さつまいもは、食物繊維の他、ビタミンB1、C、E、カリウムなども豊富です。
特にビタミンCは、さつまいも1本でリンゴの4倍以上。
さつまいものビタミンCは他の野菜に比べて熱に強いのもうれしいポイントです。
ふかして食べるときには、電子レンジを利用すれば短時間の加熱で済むので、さらに効果的です。
皮の部分が特に栄養価が高いので、皮ごと利用するのがオススメです。
10.長ねぎ
食物繊維 | 水溶性 | 0.3g |
不溶性 | 2.2g | |
総量 | 2.5g |
ねぎの白い部分に多く含まれるのはビタミンCです。
緑の部分はビタミンCに加え、β-カロテン、カルシウムなどが豊富です。
また、ねぎの独特のにおいをつくる硫化アリルという成分には、ビタミンB1の吸収を助ける働きがあるので、ビタミンB1が豊富な豚肉と一緒に食べるとさらに効果的です。
ねぎの辛み成分には体を温める効果があるため、焼きねぎ湿布やねぎ湯など、風邪対策の民間療法として、古くから利用されてきました。
11.大根
食物繊維 | 水溶性 | 1.4g |
不溶性 | 3.7g | |
総量 | 5.1g |
大根には、消化を助けるジアスターゼやアミラーゼという酵素が豊富に含まれています。
ジアスターゼは熱に弱いので、大根おろしにすることで効果を発揮します。
焼き魚や焼肉に大根おろしが添えられるのは味だけではなく、体にもよいのです。
他にビタミンやミネラルも豊富に含まれています。
また、葉にはカロテン、カルシウム、食物繊維が含まれ栄養価が高いので、工夫して調理するとよいでしょう。
12.ブロッコリー
食物繊維 | 水溶性 | 0.7g |
不溶性 | 3.7g | |
総量 | 4.4g |
ブロッコリーはビタミン、ミネラルを多く含みますが、なかでも突出しているのがビタミンCです。
ブロッコリーを30g(約2房分)食べるだけで、成人の一日のビタミンC必要量を満たすといわれるほどです。
また、カルシウムの吸収を助けるビタミンKも豊富です。
花蕾を中心に食べる野菜ですが、茎や葉も同様の栄養価がある上に、食物繊維も含まれているので、薄切りにするなどして、上手に使うようにしましょう。
水溶性のビタミンを逃さず食べるには、蒸したり、生で衣をつけて天ぷらにするのもオススメです。
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