激しいスポーツの後、長時間立ち作業をした後ふくらはぎが筋肉痛になることがあり、その筋肉痛には様々な原因があります。
ふくらはぎは第二の心臓とも呼ばれていて、血液を心臓に送り返すポンプの役目をしています。
ところが疲れるとむくみが出たり、痛みを生じることがあります。
特に休憩なしで長時間立っていると、ふくらはぎはむくむと同時に痛みを感じるようになります。
スポーツ後の筋肉痛とは違った「だるさ」が加わるために何をしても解消されません。
できるだけ早く解消するために何ができるでしょうか。
筋肉痛とは何か
筋肉痛には2種類あり、運動中から運動直後に発生する急性筋肉痛と運動後数時間後~24時間程度経過してから痛みはじめ、24~72時間後に痛みがピークに達する遅発性筋肉痛です。
一般的に筋肉痛と呼んでいるのは、「遅発性筋肉痛」という定義に当てはまるものであり、筋肉痛=遅発性筋肉痛とほぼ同義として扱われています。
一方の急性筋肉痛はごく稀でほとんど症例はありません。
1.筋肉痛のメカニズム
最も有力な説として扱われていたのが、運動をする源となるエネルギーを分解した際に発生する、疲労を感じさせる物質“乳酸”が体内に蓄積された結果、起こるのではないかという説がありましたが、近年の研究で、乳酸は運動をした後に筋肉に溜まっている訳ではなく、体内で消えてしまうことが分かったため、この説は否定されるようになってきました。
現在では次のような仮説が有力です。
(1)筋肉が伸張運動をした場合
筋肉は縮む方向に運動することは得意ですが、伸びる方向に運動するときは縮むときに比べてかなり大きな負担がかかります。
筋組織の構成上、収縮する時には多く使われますが、伸張する際にはあまり使われないしくみとなっているため、この伸びる方向に負荷がたくさんかかった場合に筋肉痛が起こるのではないかという説があります。
(2)筋組織が損傷した場合
運動の負荷によって傷ついた筋組織が修復されるときに、筋組織とその周辺の傷付いた部分が炎症を起こしているのではないかという説があります。
2.痛みの感受性は加齢とともに低下
痛みを受け止める神経の感受性は、一般的に加齢とともに生理的に低下します。これが年をとると筋肉痛が出るのが遅くなる大きな理由とされています。
みんなと同じ運動をしたのに、ひとりだけ筋肉痛が出るのが遅く、しかも、痛みも大きいし長引くのは好ましくありません。
そうならないために、日頃から少しずつでもトレーニングを行い、少しくらいの運動では簡単には損傷しないような強い筋肉をつくっておくことが大切です。
筋肉痛を予防する方法
筋肉痛を起こす原因は、運動不足によるものが大きいです。
まずは、適度な運動で筋肉を動かすことを習慣化しましょう。
運動をするときには、ストレッチなどによる準備運動と運動後のクールダウンで、筋肉への負担を軽くするように心がけるようにしましょう。
1.普段から運動習慣を身につけておく
たとえば毎週のようにランニングをしている人は、1年に数回程度しかランニングしない人よりもランニングでの筋肉痛はなりにくいものです。
使う筋肉が同じ場所で、動かす頻度が短ければ、筋肉痛になりにくくなります。
また、新たなスポーツなどをして普段使わない筋肉を使うと筋肉痛が起こることがありますが、日頃から運動の習慣のある人は全身の血流状態がよいため、普段運動していない人よりも筋肉痛が軽くて済むことが多いようです。
筋肉痛を予防するには、週に数回程度のウォーキングや簡単なストレッチ程度からでもよいので、筋肉を動かす習慣を身につけるとよいでしょう。
2.運動・休息・栄養で筋肉を発達させる
筋肉は使わなければ、どんどん筋線維が細くなってしまい、損傷しやすくなります。
しっかりとした筋線維を作るためには、運動とともに、疲労した筋肉を回復させる休養と、バランスのとれた栄養の摂取が大切になります。
たくさん運動をした日の食事は、筋肉を構成する原料となるたんぱく質、血行を改善するビタミンCやビタミンEを多めに摂るようにするとよいでしょう。
3.軽い負荷から徐々に強い負荷で筋肉を慣らす
運動を始めるときは、すぐに最大限の力を出そうとすると筋肉の損傷を引き起こしますので、軽い負荷からだんだん強い負荷へと変えていき、徐々に筋肉を慣らしていくようにしましょう。
たとえば、ランニングをする場合は、足の筋肉を傷めないよう、数分程度走ることから始め、慣れたら距離を伸ばしていくようにするとよいでしょう。
4.運動前のウォーミングアップと運動後のクールダウンは必ず行う
筋肉痛やケガの予防のためにも、運動の前後にはストレッチを行いましょう。
運動直後は、急に止まったり休んだりすると、毛細血管への血流が悪くなり、筋肉痛が起こりやすくなります。
運動後は軽いランニングやウォーキングなどでクールダウンしましょう。
運動後に筋肉が熱をもっている場合には、冷やすことも大切になります。
筋肉痛を解消する方法
1.冷やす
患部が熱い場合や腫れている場合には、肉離れの可能性があります。
応急処置でRICE処置(ライス処置)というものあります。
RICEとは、Rest(安静)、Ice(アイス・アイシング)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)の頭文字をとったもの。
痛まない姿勢で患部を休ませて、炎症を抑えるため、まずは冷やすことが先決になります。
2.温めて血行を良くする
炎症が治まったら、次は患部を温めることが効果的です。
お風呂に入ったり、サポーターなどで冷えを防いだりします。
血行を良くすることで、修復に必要な栄養や酸素が筋繊維まで運搬される働きが活発になります。
また、発痛物質を患部から散らすことにもなるので、痛みの軽減にもつながります。
3.ストレッチやマッサージをする
血行、リンパの流れが良くなり筋肉痛が解消されます。
また、ストレッチを行うと乳酸が早く静脈から排出されます。
ストレッチをする際にはゆっくりと息を吐きながら行います。
痛みを感じたら、ストレッチやマッサージは止めることが大切です。
マッサージは体の外から力を加え静脈やリンパの流れを促進し、疲労の回復を早めますので、運動直後で疲労物質が筋肉に溜まっていたり、筋肉が緊張しているときのマッサージは効果を期待できます。
さらにマッサージやストレッチの効果を高めるためにはお風呂上りに行うのが最適です。
風呂上りは体が温まり患部の血流も良くなっています。
4.十分な栄養を取る
筋肉痛を治すためには、良質なタンパク質を摂取することが大切です。
タンパク質は筋肉をつくる栄養素です。
タンパク質は肉類、魚介類、卵、大豆、乳製品など幅広い食品に含まれています。
また、プロティンパウダーを購入して不足しているタンパク質を摂取することも可能です。
さらに、クエン酸の摂取もおすすめです。
クエン酸には血液をサラサラにする効果や、乳酸を筋肉から肝臓に回収してエネルギーに変換する作用があります。
クエン酸はお酢、柑橘系の果物、梅干しなどに多く含まれています。
5.睡眠をとる
筋繊維の修復には成長ホルモンが大きく関わっています。
成長ホルモンが損傷した筋肉組織を修復し、さらに筋肉の増強もしてくれます。
睡眠中に大量に分泌されるため、筋肉痛の解消には質の良い睡眠が欠かせません。
6.テーピング
痛みが辛い時は、テーピングが便利です。
また、予防のためにも使うことができます。
テーピング用のテープはスポーツ店やドラッグストアなどに置いてありますので、手に入れやすいです。
女性の場合にはストッキングやタイツを使うため、テーピングを使うことは難しいですが、家にいるときにはテープでサポートしてあげるとよいでしょう。
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