金属アレルギーの症状と対策!|その原因となる主な正体とは?

生活全般
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肌の露出が増える夏は、アクセサリーを特に楽しめる季節です。

汗をかきやすくやる夏の時期は「金属アレルギー」の悩みが増える時期でもあります。

金属アレルギーは、どんな体質の人でも突然発症する可能性がある症状といわれます。

肌が赤くなったり、かゆみを感じたりするアレルギーは、女性にとっては避けたいものです。

金属アレルギーとは何か?

インターネット上で多くの情報がありますが、病名でいうと「接触皮膚炎」のことです。

金属アレルギーが起きるまでの過程は以下の通りです。

1)金属製の物を着用する

2)汗で金属が少しずつ溶け出す

3)溶けた金属がイオン化して体内へ侵入する

4)体内のたんぱく質と結合する

➡アレルギーの原因となるたんぱく質(アレルゲン)に変質する

5)体内で「アレルゲン」に対する「抗体」が作られる

6)上記1)から4)を経て体内で再度「アレルゲン」が作られる

7)上記5)で作られた「抗体」が「アレルゲン」を発見して過剰に反応する

これが「金属アレルギー」が起きるまでの過程です。

多くの人が「金属」が原因であると勘違いされているようですが、実は「金属」自体でアレルギーが起こることはありません。

「金属」と体内のタンパク質が結合した物質「アレルゲン」 が原因だったのです。

なお、上記6)~7)の金属アレルギー反応が起こるまでの期間は人それぞれ違います。

一度、アレルギーになると治ることがほとんど無いといわれています。

金属アレルギーの症状が現れる人と現れない人がいるのはなぜか

人によって許容範囲が決まっており、その許容範囲を超えるまでは取り込み続けて一定ラインを超えたときにアレルギーが発症するのです。

つまり、現状、金属アレルギーでない人も長期間金属イオンを体内に取り込み続けていたら、発症時期は特定できませんが金属アレルギーになる可能性は高くなります。

2種類の金属アレルギー

1.金属接触アレルギー

金属接触アレルギーは、身につけた金属が肌や体液に触れると溶けだし、イオン化して体内へ侵入します。

そして一度抗体を持った金属が同じ場所に触れると、体に発疹を伴ったかゆみやかぶれ、水泡など様々な症状があらわれます。

アクセサリーなどで起こる症状はこのケースに多く見られます。

2.全身型金属アレルギー

全身型金属アレルギーは、歯医者で使用する金属や病院で処方された内服薬、様々な食品に含まれる金属が体内に侵入する事によって発症するといわれています。

口の粘膜や腸から吸収された後に、発汗して皮膚から分泌することにより症状があらわれます。

汗は全身の皮膚から出る為、上記の金属接触アレルギーとは異なり、手のひらや足の裏などに多くみられる傾向があります。

これらは、金属が原因と分かりづらいため、皮膚科でも一般的な肌荒れと誤診されることもあるようです。

主な金属アレルギーの原因

アクセサリーなどのわかりやすい金属は、対象となる金属に触れないことで避けることが可能ですが、注意したいのは知らずに接触している金属です。

周りにはさまざまな金属が存在しますが、金歯や銀歯などの歯科器具にも微量の金属が含まれていて、歯肉の炎症を引き起こす可能性があります。

歯科金属は主にパラジウム、金、水銀などを含有していますが、ニッケル、クロム、コバルトなどを含む場合があります。

金属アレルギーをお持ちの方は歯科医師にその旨を伝えておきましょう。

1.ニッケルアレルギー

ニッケルは金属アレルギーの中で最も多い金属アレルギーです。

ニッケルは非常に有用性の高い金属で、私たちの日常には、ニッケルを使用した製品が多く存在します。

ネックレスなどの装身具、硬貨、ヘアピン、メガネのフレーム、腕時計、食器や調理器具で用いられるステンレス鋼など、ありとあらゆるものにニッケルが使用されています。

ニッケルは他の金属に比べて溶けだしやすいため、イヤリングなどのアクセサリーでは、金メッキをほどこしたニッケル製品もあり、経年変化でメッキがはがれることでニッケルが露出してアレルギー反応の原因になることもあります。

また、ニッケルは様々な食品にも多く含まれています。

アレルギー反応を示す金属の含有量が多い食品は、過剰な摂取を控えましょう。

○ニッケルを多く含む食材一覧

(可食部100gあたりの含量 ug)※1日必要量:50~80ug

穀類 きび精白粒(220) そば(玄穀190、そば米210)
えん麦(168) はと麦精白粒(160)
米ぬか(140) 小麦胚芽(140)
菓子類 チョコレート(260) ミルクチョコ(120)
種実類 ココナッツ(1400) 落花生(820)
くるみ(510) ブラジルナッツ(380)
カシューナッツ(370) ヘーゼルナッツ(360)
ピーナッツバター(290) 生栗(270)
ごま(230) 甘栗(220)
バターピーナッツ(180) アーモンド(180)
松の実(150) マカデミアナッツ(110)
豆類 きなこ(1000) 大豆(520)
あずき(440) 納豆(320)
いんげん豆(180) えんどう(160)
米みそ(160) ライマ豆(120)
魚介類 メルルーサ(420) あわび(塩辛290)
生うに(150) 焼き板かまぼこ(130)
するめいか(130) はまぐり(生120)
野菜類 グリーンピース(160) 菊のり(150)
なずな(140) アーティーチョーク(130)
シソ(葉110、実390) たけのこ(100)
そら豆(生110) トマトペースト(110)
キノコ類 なめこ(生140) ひらたけ(生180)
藻類 あおのり(870) 水前寺のり(630)
干しひじき(260) 昆布(270)
飲料類 抹茶(740) 麦茶(670)
ぜん茶(650) ほうじ茶(570)
紅茶(480) 玉露(430)
ウーロン茶(280) 玄米茶(230)
煎り豆珈琲(660) インスタント珈琲(99)
ピュアココア(610) ミルクココア(140)
調味料・香辛料 さんしょう(480) セイジ(280)
パプリカ(140) 醤油(140)
ガーリックパウダー(110) 唐辛子(100)

参考:「食品の微量元素含量表」鈴木泰夫 (著) (第一出版)

2.コバルトアレルギー

ニッケルと関連性の深いアレルギーで、ニッケルアレルギーの半数以上の人にコバルトアレルギーがあると言われています。

ニッケル同様、私たちの身近で多々利用されていて、食品はもちろん、磁石や入れ歯に使われることもあります。

コバルトは、塗料(エナメル、ラッカー)、磁石、粘土、セメントなどに含まれます。

コバルトもニッケル同様多くの食品に含まれていて、ナッツ類、青のり、ヒジキ、ココアなどに多く含まれます。

コバルトは人体に必要な栄養素であるビタミンB12に含まれているため、完全に摂取しないことは困難です。

3.クロムアレルギー

クロムには3価クロムと6価クロムの2種類があり、クロムアレルギーを引き起こすのは6価クラムです。

3価クロムも人体に必要な栄養素であり、3価クロムを有するメッキ・合金ではアレルギーは反応しません。

メッキによく利用される他、皮を“なめす”のにも使用されている金属で、なめし皮を使用した腕時計や、手袋、靴なんかでもアレルギー反応が出ることがあります。

4.金アレルギー

金は溶け出しにくい金属のため、体内に入ることがなくアレルギー反応が起きにくいとされています。

しかし、ピアスのような皮膚に直接埋め込むアクセサリーの場合、通常よりも溶け出しやすくなり、体内に入りアレルギー反応を起こしやすくなります。

ピアスを使用する方の増加により、金のアレルギーは近年増加傾向にあります。

これは金には他の金属を混ぜて使用することも多く、金以外の金属にアレルギー反応が起こっている可能性があります。

アレルギー反応がみられる場合、金属の純度や素材を確認しましょう。

5.銀アレルギー

銀そのもののアレルギーを発症するケースは非常にまれで、実は銀アレルギーではなく、混ぜられている金属のうちのどれかよって発症している場合が多いようです。

「純銀」の製品は少ないのは、やわらかすぎて加工に不向きな金属の為、銀製品の多くは他の金属を混ぜて強度を増したものが使用されているからです。

購入の際は純度を確認するようにしましょう。

アレルギー反応が起こりにくい金属

ステンレス、チタンなどの金属はアレルギー反応が起こりにくいとされています。

特にチタンによるアレルギーは最も少ないといわれています。

しかし、ごくまれにアレルギー反応が起こることがあります。

その場合はニッケルなどの別の金属が混入されており、別の金属にアレルギー反応がでていることがほとんどです。

金属アレルギーの疑いがある場合は、各金属の純度を確認するとよいでしょう。

金属アレルギー検査(パッチテスト)とは

歯医者で使用される金属やピアスには金、銀、銅、白金、パラジウム、インジウム、イリジウム、亜鉛、スズなどが含まれ、長く装用していると、体にアレルギー反応が起こることがあります。

アレルギーの原因となる金属を推定、除去することで、口内炎や湿疹などが治ることや、軽くなることがあります。

また、ピアスにまける方は安全な金属を推定することで、トラブルが少なくなることがあります。

金属パッチテストは皮膚(多くの場合は背中)に金属を含んだ試薬を貼って、アレルギー反応が起こるかどうかを調べる検査です。

テストでは、ピアスや歯科で使用される金属の16種類(アルミニウム、コバルト、スズ、パラジウム、マンガン、インジウム、イリジウム、クロム、ニッケル、金、銀、銅、白金、亜鉛、鉄、水銀)を検査することができます。

金属アレルギーのパッチテストを3割負担の保険適用で受けた場合、1,500円程度の費用負担になります。

金属アレルギーを防ぐためには

「いつ」「どこで」発症するかわからないのが金属アレルギー。一度発症すると一生治らないといわれています。

触れたときにすぐ反応する人、長期間、それこそ何年も経ってから発症する人、汗のかきやすい人、角質層の薄い人…など、発症するメカニズムは様々です。

反対にどの金属でも全くアレルギーが起きないという人もいます。

「体内に金属を入れないようにすること」で予防につながるので、普段から気を付けることが大切になります。

気になるようでしたら、皮膚科でパッチテストを受け、自分は何の金属に対してアレルギーなのかを調べておき、長時間着用する金属製品(アクセサリーや時計など)は素材を選び、アレルギーの起きやすい金属が含まれているものは避けるようにするとよいでしょう。

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