賞味期限と消費期限の違いがわかりますか。
食品を買う際に賞味期限や消費期限をチェックされる人は多いことと思いますが、この期限表示の違いを何となく分かっているもののハッキリとした違いはよく分からない人もいるかと思います。
期限を過ぎても食べて良いのは賞味期限、それとも消費期限でしょうか。
間違えの多い賞味期限と消費期限の違いを解説します。
賞味期限と消費期限の違いは?
賞味期限と消費期限のそれぞれの意味
(1)賞味期限
【定義】
定められた方法により保存した場合において、期待されるすべての品質の保持が十分に可能であると認められる期限を示す年月日をいう。ただし、当該期限を超えた場合であっても、これらの品質が保持されていることがあるものとする。
これはおいしく食べることができる期限のことで、この期限を過ぎても、すぐに食べることができなくなるということではありません。
加工食品の劣化が比較的遅いものに設定しています。
たとえば、スナック菓子、カップめん、缶詰などがあります。
(2)消費期限
【定義】
定められた方法により保存した場合において、腐敗、 変敗その他の品質の劣化に伴い安全性を欠くこととなるおそれがないと認められる期限を示す年月日をいう。
これは期限を過ぎたら食べないほうが良いということです。
加工食品が早く悪くなるものに設定しています。
たとえば、弁当、サンドイッチ、惣菜などがあります。
参考:食品の期限表示について(農林水産省・厚生労働省)
賞味期限や消費期限はどのように決まるのか
1.客観的な期限の設定について
期限の設定を適切に行うためには、食品等の特性、品質変化の要因や製造時の衛生管理の状 態、原材料の衛生状態、保存状態等の当該食品に関する知見や情報を有している必要があることから、食品等事業者(表示義務者)が期限の設定を行うことになります。
このため、食品等事業者においては、客観的な期限の設定のために、微生物試験、理化学試 験、官能試験等(※)含め、これまで商品の開発・営業等により蓄積した経験や知識等を有効に活用することにより、科学的・合理的な根拠に基づいて期限を設定することが必要になります。
参考:加工食品の表示に関する共通Q&A (第2集:期限表示について)
(※)微生物試験、理化学試験、官能試験は以下の通りです。
【理化学試験】
たとえば、油脂の酸化度合や酸性度合(pH)、物の固さや、水分含量などを調べます。
【微生物試験】
一般生菌の数や、食中毒を引き起こすような有害菌の有無などを調べます。
【官能試験】
実際に食べてみて、味に変化があるかどうか調べます。
一般的な方法としては、作りたてのものを「満点」とした場合、日数が経過するうちに品質がどれだけ落ちるかを食べて評価して、独自の基準で定めた範囲を逸脱するまでの期間を決めます。
賞味期限切れと消費期限切れの食品はいつまで食べられるか
1.賞味期限切れはどこまで大丈夫か
賞味期限の場合は期限を切れてもしばらくは大丈夫です。
安全に食べられる期限の7~8割くらいの設定で日付が付いていることが多くあります。
通常状態での品質テストや過酷な状態でのテストをしてどのくらい保つのかを調べています。
テストした結果を元に賞味期限は余裕を持ってつけられます。
たとえば10日間大丈夫なものだったら賞味期限は7日間と余裕を持って設定されます。
1.5倍程度で設定している企業が多くあります。
賞味期限が7日間だったら1.5倍の10日間は食べられるということになります。
ただし、食品は保存方法によって劣化の速さが異なってきますので注意が必要になります。
2.消費期限切れはいつまで食べられるか
消費期限は「安全に食べられる」期限なので、期限内に食べるようにします。
ただし、当然ですが期限を過ぎたからといって、いきなり腐り始めるわけではありません。
多少の猶予があることが多いですがそこは自己責任ということになります。
モノによりますが見た目で判断するというのもあります。
たとえば、肉の場合、変色している、においがする、べとつきがある状態であれば廃棄処分です。
明らかに変質しているときは危険です。
アイスクリームに賞味期限がないのに冷凍食品にあるのはなぜか
厚生労働省の「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」や農林水産省の「加工食品品質表示基準」の規定で、「アイスクリーム類にあっては、期限及びその保存方法を省略することができる」となっています。
このため、アイスクリームには賞味期限がないということになります。
一方で冷凍食品は温度管理をしっかり行っていても、使用されている油の酸化(劣化)が進み、アイスクリームのように温度によって溶けてしまうような外観の変化が見られません。
このため冷凍食品が保管時に常温などになっても、販売時に低温になっていれば、購入者にはその経過がわからないというような理由から冷凍食品には賞味期限が付けられているのです。
賞味期限や消費期限の無い食品
上記のアイスクリームの他にも賞味期限や消費期限の無い食品があります。
代表的なものを紹介します。
1.砂糖
品質の変化が極めて少ない砂糖は、賞味期限はありません。
ただし、保存方法により湿気や虫がついたりすることがあるため、密封容器に入れて冷暗所で保存するようにします。
2.塩
砂糖同様、塩も品質の変化が極めて少ない食品ですので賞味期限はありません。
ただし、塩は、湿気に弱いため、固まったりすることがありますので保存には注意が必要です。
3.ガム
ガムは品質の変化が極めて少なく、水分も非常に少ないため安定しています。
長期保存が可能により、賞味期限はありません。
ただし、特定保健用食品の許可を受けているガムは、賞味期限の記載を義務づけられています。
4.塩分の多い梅干し
保存料・着色料を使わず、塩だけを使用して作られたものに限りますが、梅干しも塩の殺菌効果により腐りません。
塩分濃度20%前後であれば、賞味期限はありません。
ただし、塩分濃度15%以下の減塩タイプは腐りやすいため、期限表示があります。
5.果物・野菜
法律上、「加工食品」には消費期限又は賞味期限の記載表示義務がありますが、「原料食品」には期限の記載表示義務はありません。
果物や野菜は食品の「原料」になりますので賞味期限を記載する必要がありません。
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