
和洋を問わず幅広い料理に使える大根は鍋物やおでん、煮物にサラダに魚料理から肉料理のつけあわせとかなり大活躍してくれます。おろして良し、煮て良し、 漬けても良しと、淡白な味わいながら大根ほど様々に調理される野菜は少ないです。
年間を通して出回っている野菜ですが、旬は秋から冬になります。特に冬場は、寒さでぐんと甘さが増し、冬のメニューにかかせない素材となっています。そんな身近な大根ですが、その栄養や効能について知っていますか。
大根の原産地は?
原産地については諸説ありますが、地中海沿岸や中央アジア、中国ではないかといわれています。その歴史は古く、紀元前3,000~2,000年頃にはエジプトで食べられ、中国でも紀元前500年頃には栽培が行われていたようです。
イギリスやフランスなどヨーロッパ諸国で栽培が始まったのは15~16世紀頃だと考えられています。日本では古名は「おおね」で大根の字が当てられていましたが、後に音読みの「だいこん」になりました。
生のまますりおろせば、自然の辛みが味わえ、コトコト煮れば甘みが増す、和食においてなくてはならない食材です。通年出回っていますが、冬の時期の大根は甘みがより増してくるのが特徴です。
かつては全国各地で固有のものが栽培され、200品種を超えるといわれていましたが、最近では青首大根が主流。甘みがあり、大きさも手ごろなことから、青果売場にならんでいます。
一方、地方ごとに工夫された漬け物や切り干しなどの保存食として加工されたものも広く流通されるようになりました。
大根の主な栄養素とは?
大根には、消化を助けるジアスターゼやアミラーゼという酵素が豊富に含まれています。ジアスターゼは熱に弱いので、大根おろしにすることで効果を発揮します。焼き魚や焼肉に大根おろしが添えられるのは味だけではなく、体にもよいためです。
他にビタミンやミネラルも豊富に含まれています。また、葉にはカロテン、カルシウム、食物繊維が含まれ栄養価が高いので、工夫して調理するとよいでしょう。
大根(葉)の主な栄養成分(可食部100gあたり)
カリウム | 400 μg |
カルシウム | 260 mg |
ビタミンA(β-カロテン) | 3900μg |
ビタミンC | 53 mg |
葉酸 | 140μg |
食物繊維 | 4.0 g |
大根の効能とは?
1.胃腸の調子を整える
大根のジアスターゼやアミラーゼなどの消化酵素の働きにより、消化がスムーズに促進され、胃もたれや胸やけの解消に役立ちます。また、酵素の1つ、オキシターゼには、魚の焦げ部分などの発がん性物質を解毒する効果があるといわれています。
2.ダイエット効果
大根に含まれるイソチオシアネートが代謝を活発にします。また、大根のカロリーが非常に低いため、ダイエット効果があります。
ただし、イソチオシアネートは大根をおろしたときに発生すること、また、熱に非常に弱いので、イソチオシアネートを摂取する場合は生の大根おろしにするのがよいでしょう。
3.アンチエイジング
イソチオシアネートには抗酸化作用があり、活性酸素を除去し体外へ排出するデトックス効果が期待できます。また、ビタミンCにも同様に抗酸化作用があるため、両方で作用して、老化防止・アンチエイジングに期待できます。
なお、ビタミンCは大根の皮により多く含まれているので、皮も食べるようにするとよいでしょう。
4.しわ・シミの防止や風邪予防・ストレスの防止
ビタミンCには、コラーゲンの生成を助ける働きがあり、しわやシミの予防、お肌の張りを保つなどの効果も期待できます。また、免疫作用や疲労回復、抗ストレス作用もあるため、風邪の予防やストレスの多い人にはオススメです。
5.むくみの防止
大根に含まれるカリウムには余分な塩分を体外へ排出す働きがあるので、むくみの予防に繋がります。
6.便秘解消
大根の不溶性食物繊維の働きにより、腸内の運動が活発になり便秘予防につながります。有害物質のデトックス効果も期待できるので腸内環境改善にも期待できます。
大根の保存方法とは?
葉がついている場合、葉が根の養分を吸い上げてしまうので、切り落として別々に保存します。水分たっぷりの大根は乾燥させないことが大切です。切り口はラップや湿らせた新聞紙などで包んで冷蔵庫の野菜室で保存します。
葉は、新鮮なうちにかたゆでし、水気をしぼってからラップに包んで冷凍しておくと、彩で一品が欲しいときなどに便利です。また、生のまますりおろして冷凍して保存することもできます。
大根の効果的な調理方法や食べ方とは?
大根の白い根の部分は生で食べることで、熱に弱いビタミンCやジアスターゼなどの消化酵素や辛味成分の効果を失わせることはありません。大根おろしにして食べる、細く千切りにしてサラダにして食べるなどの方法がおすすめです。
また、がん予防や抗酸化作用があるとされる、イソチオシアネートは大根を切ったりおろしたりして、細胞を壊すことで効果が発揮されます。栄養価を落とさずに効果的に摂取するには、生で食べるとよいでしょう。
また、大根の葉の部分の食べ方は普通の青菜と同じように生のまま、炒める、茹でる方法で食べることができます。摂取したい栄養素にあわせて、以下のような調理方法で摂取するとよいでしょう。
- 水溶性で熱に弱いビタミンCを摂りたい場合、サラダに混ぜるなど生で食べる。
- 脂溶性のビタミンAを摂りたい場合、ほかの野菜と一緒に少量の油で炒めて野菜炒めの具として食べる。
- カルシウムを効率よく吸収したい場合、酢飯など酢といっしょに食べる。
- 生で食べるのが苦手な場合、茹でて食べてももちろんOK。
大根の効果的な食べ合わせとは?
大根とほうれん草、かぼちゃ、鶏肉、ホタテ貝などと一緒に食べると胃がんや大腸がん予防の効果があり、強肝作用もあります。また、なす、ごぼう、にんじん、シジミなどと一緒に食べると糖尿病や貧血予防に効果があるといわれています。
さらに、バナナ・とうがん・牛乳・りんごなどと一緒に食べると胃潰瘍、十二指腸潰瘍予防につながるといわれています。
大根の見分け方・選び方とは?
大根の葉は、白い根の部分よりも栄養が豊富に含まれています。スーパーでは葉を切ってあるものもありますが、大根を買うときは葉つきの物を買いましょう。なお、葉付きのままで保存すると栄養分を葉にとられてしまうので、すぐに葉を根元から切り落とします。
大根は葉付きのほうが日持ちや風味もよいです。葉が緑色のものを選ぶようにしましょう。鮮度が落ちてきた葉はだんだんと黄色くなります。茎の部分まで黄色くなってきているものはかなり古いです。
白い根の部分は全体に張りとツヤがあり、まっすぐ伸びて、太いものを選びます。持ったときにずっしりと重いのはみずみずしく水分が豊富な証拠です。ひげ根の毛穴が浅く少なく、表面がなめらかなものが選ぶとよいでしょう。
葉がカットされて茎の断面が見れるものはその断面にスが入っていないかを確認しましょう。
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