「住所」「所在地」の使い分けで悩んだことはありませんか。
たとえば、取引の際、提出する書類に「住所」の記載欄がありますが、法人で取引する場合、「住所」でよいのだろうかと疑問に思ったことはないですか。
「勤務地の住所」と「勤務先の所在地」のどちらが正しいのでしょうか。
「住所」と「所在地」の違いについて解説します。
「住所」と「所在地」の使われ方
一般的と思われる使われ方は以下のようなものかと思います。
「住所」 : 住んでいる場所。個人向け
「所在地」 : 建物のある場所。法人向け
人が住んでいるから「住所」、会社のあるところは「所在地」と考えるのが常識だと思っていますが、そういうことは誰も教えてくれないのでしょうか。
公的な書類は、ほぼこれらのルールに従って、書面が作成されています。
しかし、民間作成の書類では、あやふやです。
大企業でも対応できていない場合がありますので、これらの書類を見て、どれが正しいのか、混乱してきてしまいます。
会社の場所を特定するときは「会社の所在地」または「会社の住所」というように使われています。
「住所」と「所在地」の違いとは?
「所在地」を表すのに「住所」と「地番」の2つの方法があります。
不動産取引や不動産登記では、「地番」が所在地として用いられます。
しかし「地番」は1筆の土地ごとに定められているため、1筆の土地の中に複数の建物が建っていたり、数筆の土地にまたがって建物が建っていることがあり、「地番」だけでは建物を特定できません。
訪問する場合や配達する場合には地番だけでは目的地にたどり着かないことがあります。
「住所」を定めることで特定できるようにしているのです。
これが「住所」と「所在地」の違いになります。
「会社の住所」の記載が会社法にあった
「住所」と「所在地」があいまいになる原因が会社法第4条の記載にあるのではないかと思っています。
会社法
(住所)
第4条 会社の住所は、その本店所在地にあるものとする。
この条文で人が住むところが「住所」と認識していたのがあっさりと崩されました。
こうなってくると「住所」と「所在地」の区別は限りなく曖昧になり、使い続けるとどちらでも違和感を感じなくなってしまいます。
「住所」と「所在地」の使い分けとは?
「会社の所在地」を聞かれたらどのように答えますか。
たとえば、相手が商品のカタログを送りたいと思っている状況であれば、配達ができるように「○○市○○XX-XX-XX」のように「住所」を答えれば問題ないでしょう。
また、相手がどこに勤めているのか会社の場所を知りたいときには「日本橋」など地名を答えれば問題ないでしょう。
「住所」を答えても間違えではありませんが、相手はそこまで細かいところまでは必要とはしていないでしょう。
結局のところ、本来は何を聞きたいのか、何を言いたいのかによって、「住所」と「所在地」を使い分けなくてはいけないのでしょう。
一律に「住所」と「所在地」を使い分けるのは実は難しいのです。
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