投資信託で運用する|特徴は様々で投資方針は目論見書で確認

投資信託 資産運用
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多くの投資初心者は、投資信託を選ぶ際に迷いがちです。数多くの選択肢があり、どれが自分に合った商品なのか、そしてどのように選べばよいのかがわからないことが多いでしょう。また、投資信託のリスクや手数料についての理解不足も、適切な判断を妨げる要因となっています。

この記事を読むことで、投資信託の基本的な特徴や選び方について理解が深まります。さらに、投資信託の投資方針を理解するための重要な情報源である目論見書についての知識も身につけられるため、読者は自信を持って自分に適した投資信託を選べるようになります。

具体的には、まず投資信託の種類とそれぞれの特徴を解説し、次に目論見書の見方と重要なポイントを紹介します。特に、目論見書に記載されている投資方針やリスクについての理解を深めることで、投資信託選びの判断材料を提供します。

目論見書は、投資信託の詳細な情報を提供する公式な文書であり、投資家にとって最も信頼できる情報源です。その内容を正しく理解することで、自分の投資目標に合った商品を選ぶことができ、投資の失敗を防ぐことが可能です。この記事を通じて、目論見書の読み方を学ぶことで、投資信託選びにおける不安や疑問を解消し、より確実な投資判断ができるようになります。

投資家から資金を集めて株や債券などで運用

投資信託は証券会社や銀行などで購入できる金融商品です。

取り組みやすく、リスク管理も株に比べ容易という点で、ビギナー向けの商品といえます。

まずは、投資信託のしくみを押さえておきましょう。

投資信託は大勢の投資家から資金を集め、複数の株や債券、不動産などで運用することから、一般的に「ファンド(基金)」と呼ばれています。

投資委託会社と呼ばれる「運用会社」が投資信託を設定、運用指図をし、「管理会社」と呼ばれる信託銀行が市場を通じて売買を行い、顧客資産を管理しています。また、「販売会社」である銀行や証券会社は、投資信託を多くの投資家に説明販売をするという形になっています。

投資信託は、通常1万円から購入できますが、近年ではネット系の証券会社を筆頭に100円や500円からでも購入できるようになっており、手軽に始められる投資としても注目を集めています。

投資信託も、株式と同様に毎日値動きがあります。この価格を「基準価額」といい、投資家が購入する際の基準となります(投資信託を新規設定するときの価格はすべて1万円となっています)。

投資信託の規模と価値

1.純資産総額

投資信託が投資家から集めた資金の総額と投資信託の運用結果を加えた金額です。

例:

10人が10万円ずつ購入= 100万円

運用がうまくいき5%の利益を獲得= 105万円

純資産総額が大きい方が幅広く投資ができて、運用が安定しやすくなります。

2.基準価額

純資産総額を販売している口数で割り算したもの

例:

全1万口の投資信託の場合

純資産総額1億円なら、基準価格は10,000円

純資産総額1億5千万円なら、基準価格は15,000円

基準価格が上がっている投資信託は運用がうまくいっていると判断できます。

投資信託は大きく2種類ある

投資信託の投資先はさまざまですが、投資先の分野や業種などはあらかじめ決められています。たとえば、投資先に株を含む(含むことができる)ものは株式投資信託といい、株を含まず、債券などに投資するものは公社債投資信託といいます。株の方が債券よりも値動きが大きくなるため、リスク・リターンも株式投資信託の方が大きくなります。

株式投資信託の中にも、国内株に投資するものや海外株に投資するものなど種類があります。日経平均株価のような株価指数と連動するように設計されているものもあれば、値上がりしそうな銘柄に絞って投資するものもあります。

投資信託のしくみ
投資信託の分類(一例)
商品別リスクとリターン

投資信託の特徴を目論見書で確認する

投資信託選びでは、どんなものに投資し、どのくらいリスク・リターンがあるのかを把握することが重要で、これを把握する書類が販売会社が交付する「目論見書」です。

目論見書には、「投資信託の特徴」「運用方針」「運用に係るコスト」「投資対象」「運用リスク」など、その投資信託自体のことがまとめられています。投資家が購入する際には、販売会社は必ず「交付・説明」することが義務付けられています。購入を決める前に必ず内容確認するようにしましょう。

また、投資信託がビギナーに向いている理由として、他の投資商品と比べて、少額から投資することができるという点が挙げられます。

株式の場合、銘柄によっては数十万円から数百万円の資金が必要となりますが、投資信託の場合は100円、500円といった少額の金額から取り組むことができるメリットがあります。

投資信託選びの具体的なステップ|種類と目論見書のポイントを理解する

投資信託選び

投資信託の種類別特徴

株式型投資信託

株式型投資信託は、株式を主要な投資対象とするため、高い成長が期待できる一方で、リスクも高い商品です。

株式市場は経済状況や企業の業績によって大きく変動するため、短期間での大きな値上がりも期待できますが、逆に大きな下落もあり得ます。そのため、長期的に資産を増やしたい投資家に向いていますが、リスク許容度が高いことが求められます。

例えば、成長性の高いテクノロジー企業に投資する株式型投資信託は、過去数年間で大幅な上昇を見せていますが、市場全体が不安定な時期には同様に大きな下落も経験しています。

したがって、株式型投資信託は高リターンを目指す投資家に適しているものの、市場の変動リスクを理解した上で選ぶことが重要です。

債券型投資信託

債券型投資信託は、安定した収益を求める投資家に適した、リスクが比較的低い商品です。

債券は元本が保証されることが多く、定期的な利子収入が得られるため、リスクが低く安定した収益を期待できます。特に株式市場が不安定な状況でも、比較的安定した運用が可能です。

例えば、国債に投資する債券型投資信託は、政府が発行する債券に投資するため、信用リスクが低く、安定した利回りが期待できます。

債券型投資信託は、リスクを抑えつつ安定的な収益を求める投資家にとって魅力的な選択肢です。

バランス型投資信託

バランス型投資信託は、リスクとリターンのバランスを取りながら、安定した成長を目指す投資家に適しています。

このタイプの投資信託は、株式や債券など複数の資産に分散投資することで、リスクを抑えつつ、リターンを狙うことが可能です。市場の変動に対しても比較的安定した運用が期待できます。

例えば、国内外の株式と債券に分散投資するバランス型投資信託は、リスクが分散されるため、一部の市場が不調でも他の資産で補うことができ、安定した運用が実現しやすいです。

バランス型投資信託は、安定した資産運用を求める投資家にとって、魅力的な選択肢です。

インデックス型投資信託

インデックス型投資信託は、市場平均に連動したパフォーマンスを目指し、低コストで運用できる商品です。

この投資信託は、市場の特定の指数(インデックス)に連動して運用されるため、管理手数料が低く、長期的に市場全体の成長を狙うことができます。アクティブ運用に比べてリスクが低いのが特徴です。

例えば、日経平均株価やS&P 500に連動するインデックス型投資信託は、これらの指数に含まれる銘柄を広く分散投資し、全体的な市場成長を反映した運用成果を得ることができます。

インデックス型投資信託は、低コストで市場平均のリターンを狙いたい投資家にとって理想的な選択肢です。

アクティブ型投資信託

アクティブ型投資信託は、市場平均を上回るリターンを狙う積極的な運用が特徴の高リスク・高リターンの商品です。

ファンドマネージャーが市場の状況を分析し、銘柄選定を行うことで、インデックスを上回るリターンを狙います。そのため、運用手数料は高くなりがちですが、成功すれば大きな利益を得られる可能性があります。

例えば、成長企業に積極的に投資するアクティブ型投資信託は、市場の成長以上のリターンを目指し、ファンドマネージャーの選定力が鍵となります。上手くいけば、市場平均を大幅に上回る成果を挙げることが可能です。

アクティブ型投資信託は、市場平均以上のリターンを狙う投資家にとって、リスクを許容できるならば有望な選択肢です。

目論見書の重要なポイント

投資方針の確認

目論見書を確認する際には、投資方針をしっかり把握することが、投資信託選びにおいて最も重要です。

投資信託の成績は、どの資産にどの程度投資するかに大きく左右されます。投資対象となる資産クラスや、地域、セクターの選定、そしてそれらの配分方針を理解することで、自分の投資目的やリスク許容度に合った商品かどうかを判断できます。

例えば、国内株式に集中して投資するファンドと、グローバルに分散投資するファンドでは、リスクとリターンの特性が大きく異なります。投資方針を確認することで、自分のリスク許容度や投資目標に合致した商品を選べるようになります。

したがって、投資信託を選ぶ際には、まず目論見書で投資方針を確認し、自分のニーズに合った商品かどうかを見極めることが必要です。

リスク情報の理解

目論見書の中でリスク情報をしっかり理解することが、投資信託の選定において重要です。

投資信託には市場リスク、信用リスク、流動性リスクといったさまざまなリスクが存在します。これらのリスクを理解することで、投資する際のリスク許容度を正しく評価し、自分に適した商品を選ぶことができます。

例えば、市場リスクが高いファンドは、経済状況や市場の変動に大きく影響されるため、リターンが高い可能性がある反面、大きな損失を被るリスクもあります。これに対して、流動性リスクが高い商品は、急に現金化するのが難しい場合があります。

目論見書に記載されたリスク情報を理解することで、投資判断をより慎重に行うことが可能になります。

費用の確認

投資信託の費用を確認することは、長期的なリターンを最大化するために欠かせません。

信託報酬や購入時・解約時手数料は、投資信託のコストとして運用成績に直接影響します。特に信託報酬は長期運用においてリターンを大きく削る可能性があるため、費用をしっかり把握することが重要です。

例えば、信託報酬が低いインデックス型投資信託と高いアクティブ型投資信託では、長期的に見たリターンに大きな差が出ることがあります。費用をしっかり確認することで、コストパフォーマンスの高い商品を選ぶことができます。

投資信託を選ぶ際には、目論見書で費用を確認し、リターンを最大化するためのコスト管理を怠らないことが重要です。

パフォーマンス履歴のチェック

目論見書で過去のパフォーマンス履歴をチェックすることは、投資信託の選択において信頼性を判断するための重要なステップです。

過去の運用実績やベンチマークとの比較を確認することで、その投資信託が安定して良好なパフォーマンスを発揮しているかどうかを評価できます。これにより、将来的なリターンの期待値をより現実的に見積もることができます。

例えば、過去5年間のパフォーマンスが市場平均を上回っている投資信託は、今後も安定した運用成果が期待できる可能性が高いです。一方で、ベンチマークを一貫して下回っているファンドは、リスクが高い可能性があります。

パフォーマンス履歴をチェックすることで、投資信託の信頼性を確認し、より良い選択をすることができるようになります。

投資信託選びの判断材料

自分の投資目標との適合性

投資信託を選ぶ際には、まず自分の投資目標に合致しているかどうかを確認することが重要です。

投資信託には、資産形成、老後の備え、短期的な利益追求など、様々な目的に対応した商品があります。自分の投資目標に合致しない商品を選んでしまうと、期待するリターンが得られないだけでなく、リスク管理も困難になります。

例えば、老後の安定した収入を目的とする場合は、安定的なリターンを狙える債券型投資信託が適しているでしょう。一方、短期間での資産増加を目指すなら、リスクは高いもののリターンも期待できる株式型投資信託が良い選択となります。

自分の投資目標に合った投資信託を選ぶことで、目標達成への道筋が明確になり、安心して運用を進められます。

リスク許容度に基づく選定

投資信託を選ぶ際には、自分のリスク許容度に基づいて商品を選定することが必要です。

投資信託には、リスクとリターンのバランスが異なる商品が数多く存在します。リスク許容度を超えた商品を選んでしまうと、市場の変動による損失に対して過度なストレスを感じる可能性があります。自分に適したリスクレベルの商品を選ぶことで、安定したメンタルで運用を続けることができます。

例えば、リスクを極力抑えたい場合は、国債を中心とした債券型投資信託を選ぶべきです。一方、リスクを取ってでも高いリターンを狙いたいなら、新興市場に投資する株式型投資信託が適しています。

自分のリスク許容度を理解し、それに見合った投資信託を選ぶことで、長期的に安心して運用を続けられる環境が整います。

投資期間と目標に合った信託の選択

投資信託を選ぶ際には、投資期間と目標に合った商品を選ぶことが重要です。

投資期間が短い場合は、リスクが低く、流動性の高い商品が適しています。一方、長期の投資期間がある場合は、リスクが高くてもリターンが期待できる商品を選ぶことが可能です。投資期間に応じた商品を選ぶことで、目標達成の可能性が高まります。

例えば、数年以内に家を購入するための資金を準備する場合は、リスクが低く、短期間でも安定したリターンを得られる債券型投資信託が適しているでしょう。逆に、長期的な資産形成を目指すなら、株式型やインデックス型投資信託が良い選択肢となります。

投資期間と目標に合った投資信託を選ぶことで、計画的かつ効果的な資産運用が実現でき、目標達成に近づけます。

記事のまとめ

投資信託を選ぶ際には、まず自分の投資目標やリスク許容度を明確にし、それに基づいて適切な商品を選ぶことが重要です。さらに、目論見書をしっかりと読み込み、投資方針やリスク、費用、過去のパフォーマンスを確認することで、より安心して投資を始めることができます。

これまで紹介した内容を参考にして、次のステップとして、気になる投資信託の目論見書を取り寄せ、じっくりと確認してみてください。そして、自分の投資目標に合った商品を見つけたら、実際に少額からでも投資を始めてみましょう。行動することで、投資の経験を積み、資産運用のスキルを高めることができます。あなたの投資の成功を応援しています。

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