「結婚や家の購入、子どもの教育費、老後の生活…これらにどれくらいのお金が必要なのか不安」「具体的な金額や貯め方がわからない」といった悩みを抱える方は多いでしょう。ライフイベントにかかる費用は人生の大きな負担となるため、計画的に準備できていないと将来の家計に大きな影響を与える可能性があります。
この記事を読むことで、人生の各ライフイベントに必要な費用の目安がわかり、それに向けた貯蓄や資産運用の計画を立てられるようになります。また、結婚、マイホーム、教育費、老後資金の準備をいつから始めるべきかや、それぞれの費用を賄うための具体的な方法を学ぶことで、将来の資金計画が明確になります。
まず、結婚、マイホーム購入、教育費、そして老後資金のそれぞれに必要な平均費用を紹介し、各ライフイベントに備えるための貯蓄目標を設定します。さらに、貯蓄のための節約術や、資産運用を活用した長期的な資金形成の方法を解説。また、各段階で使える公的支援制度や税制優遇措置についても触れ、効率的な資金準備の方法を提案します。
ライフイベントにかかる費用の具体的な金額を理解し、計画的に資金を準備することで、将来の経済的な負担を軽減し、安心して人生の節目を迎えることができます。適切なタイミングでの貯蓄や資産運用を行うことで、確実な資金計画が立てられるのです。
結婚費用は価値判断次第で大幅に変わる
普段の生活費以外にも、人生には大きなイベントに伴って出費がかさむこともあります。代表的なのは、「結婚式の費用」「マイホーム購入」「教育費」「老後の費用」の4つです。
まず統計データをもとに「結婚式の費用」から見ていくと、結婚式の自己負担額は約49万円です。これは「結婚の平均費用約469万円」から「ご祝儀の平均総額228万円」および「親からの援助の平均額192万円」を差し引いた金額です。費用全体で見ると実質負担額が約1割となっています。
結婚式の1人分のご祝儀の相場は、一般的に3万円もしくは5万円となっています。40人から60人規模の結婚式であれば、およそこれぐらいのご祝儀の総額となるでしょう。結婚式についての平均費用は約387万円で、その内訳は2人分の結婚指輪約25万円と結婚式代約362万円に分けられます。
結婚費用の約387万円という金額は、「人生の節目として考えれば安い」と捉えるか、あるいは「たった1日のために見栄を張るより身の丈に合った式にする」と考えるのか。この辺の価値判断は夫婦それぞれでしょう。
また、ここに挙げている金額はあくまで1つの統計データを用いた平均であり、規模次第ではもっと高くもなれば、安くもできるでしょう。ただし、300万円を超えるお金は決して少額ではありません。結婚後も家計の管理はこれまで通り続き、生活は維持しなくてはなりません。ライフイベントは結婚だけではないことを前提に置いて、慎重に話し合いながら計画してみましょう。
住宅ローンの返済は多くても手取りの25%以内に収める
マイホームの購入は人生で一番大きな買い物といわれています。2019年度の住宅金融支援機構のデータによると、中古を除いた戸建ての平均物件価格は約3,735万円(注文住宅と土地付注文住宅と建売住宅の単純平均)です。一方でマンション(中古を除く)の平均物件価格は約4,521万円となっています。
マイホームを購入するとき、ほとんどの人が住宅ローンで融資を受けますが、そのときに注意したのが「返済額が手取り月収の25%以内」にしておくことです。これを大幅に超えると住宅ローンの返済が家計を圧迫し、資金計画に支障が出るケースもあります。継続的に無理なく完済できるか、現実的な返済額かどうか判断してから借入額は検討しましょう。
まだ、「低金利」が住宅ローンを組む際のポイントです。金融機関はネット型や店舗型銀行などたくさんの種類がありますが、金利はわずか数%の差で、毎月の返済額と総返済額に大きく影響します。住宅購入の仲介業者が提案する金融機関以外も視野に入れつつ慎重に検討しましょう。
教育費はいつ私立を選ぶかが大きな分かれ目
「教育費を子どもにいくらかけるのか」、これは子どもを持つ多くの親が直面する問題だといえます。教育費に大きく影響を与えるのは、「公立か私立か」の教育機関の選択です。幼稚園から高等学校まですべて公立だった場合とすべて私立だった場合は、公立が約541万円、私立が約1,830万円で実に3倍以上の差があります。
大学まで進学したときの費用を含めると、約220万円の差があるのでさらに広がります。私立であるかどうかの差が最も開くのは、小学校の6年間です。公立だと総額約193万円ですが、私立だと約959万円で約5倍という大差がつきます。
このように教育費の差は、いつから、またはどのくらいの期間、子どもを私立に通わせるかで大きく変わってくるといえます。
一方で、自身の老後資金についても意外と後回しにしがちですが、金額は少なくありません。総務省の統計によると年間約55万円不足というデータもあり、やはり早めの準備が必要といえそうです。
出費も大きい人生の4大イベント
一般的に人生における出費の大きい4大イベントは「結婚費用」、「マイホーム購入」、「教育費」、「老後の費用」といわれています。実際にどのくらいかかるものなのか確認しておきましょう。
結婚の費用
※結婚の平均費用の算出時に用いた各項目の平均金額を掲載しているが、これは結納・会場費および両家の顔合わせ・会場費については実施した人の、その他の項目については費用の発生した人の平均金額であり、各項目の平均金額の合計は、結婚の平均費用とは一致しない
実質的には親からの援助があれば総費用の約1割の負担、援助がない場合でも約5割の負担で済みそうです。
マイホーム購入
住宅購入価格
マイホームは人生で一番大きな買い物ともいわれています。
【全国の所要資金(=物件価格)】
出典:住宅金融支援機構「2019年度 フラット35利用者調査」より(所要資金=物件価格として)
住宅金融支援機構の調査によるとマンションよりも戸建てのほうが安い傾向あります。
住宅ローン活用の2大原則
【毎月の返済額は手取り月収の25%以下】
できれば手取り月収の20%以内が理想的です。
【「低金利」で銀行を選ぶ】
銀行も種類があります。
金利別の住宅ローンのシミュレーション
【(金利別)住宅ローンのシミュレーション】
わずか1.5%の違いであっても900万円もの差が生じます。
手取り月収から支払い可能か判断
住宅ローンを組むときは、年収を基準にするのではなく、手取り月収をベースにしましょう。購入希望物件との差がある場合は、その不足分を頭金として確保してからでないと、住宅ローンの負担が大きくなるので注意が必要です。
教育費
すべて私立だとすべて公立だったときの約3倍の費用がかかります。
教育費は私立かどうかが大きな差
【幼稚園から高校までの学習費総額】
【大学4年間の費用(授業料×4年間+入学金)】
出典:文部科学省「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」、
文部科学省「私立大学等の令和元年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」
【幼稚園から中学校まで公立、高校と大学は私立の場合】
約1,156万円
老後の費用
人生100年時代の現代で避けて通れない問題となっています。
老後の生活費は公的年金だけは不足する
老後(65歳以降)の年間不足金額は以下の月々の【収入】と【支出】の差から約55万円となり、公的年金だけでは生活ができない状況であるといえます。
【収入】
夫婦2人で毎月受け取る公的年金 : 平均19万円
【支出】
出典:総務省「家計調査<用途分類>1世帯当たり年平均1か月間の収入と支出 (高齢者のいる世帯)世帯主の就業状態別」(平成29年)<夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯>
老後資金は最低でも1,000万円!?
【必要な老後資金】
【平均寿命】
【平均寿命を考慮すると最低でも1,000万円は必要】
男女の平均寿命をおおよそ85歳とした場合、定年65歳以降「老後」期間とすると、その期間は平均20年間となります。老後2,000万円になるといわれていますが、総務省の統計データによると、年間55万円以上が不足し、20年で約1,100万円以上の老後資金の確保が必要となります。節約して生活するとしても最低でも1,000万円は必要といえそうです。
資金の準備方法
ライフイベントに備えるための効率的な資金準備方法を、結婚、マイホーム購入、教育費、老後資金の4つに分けて提案します。
結婚に必要な費用
平均費用
結婚式や新婚旅行などの平均的な費用は、約300万円~500万円が相場です。
効率的な資金準備方法
早めの貯蓄開始
結婚を見据えて、収入の10~15%を積立貯蓄として設定。
予算設定
結婚式にかける金額を事前に明確化し、豪華さよりも内容や費用対効果を重視。
資産運用の活用
結婚までの数年を見越して、リスクを抑えた定期預金や低リスクの投資信託などを活用し、貯蓄額を効率的に増やす。
節約の工夫
招待客数を絞る、季節や平日割引を活用するなど、プランニング次第で大幅な節約が可能。
マイホーム購入費用
平均費用
新築一戸建ての購入費用は平均して約3,000万円~4,000万円ほどで、頭金として20%(600万円~800万円)を準備するのが一般的です。
効率的な資金準備方法
住宅ローン計画の最適化
住宅ローン控除を活用し、金利が低い時期に長期固定金利型ローン(フラット35など)を選ぶことで、返済負担を軽減。
頭金の準備
定期的な積立貯蓄と積立型の投資信託で、リスクを分散しながら資金を効率的に準備。
貯蓄と運用のバランス
頭金のうち、安全資産(預金など)とリスク資産(投資信託、株式)に分けて運用することで、資金の成長を狙う。
公的支援の利用
住宅ローン控除、すまい給付金や各自治体の住宅支援制度を活用し、購入時の負担を軽減。
教育費に必要な資金
平均費用
子ども一人あたり、私立に通う場合は幼稚園から大学までで約2,000万円、国公立では約1,000万円が必要。
効率的な資金準備方法
学資保険の利用
リスクを抑えつつ確実に貯める方法として、学資保険は教育費準備の一助となる。
積立投資の活用
長期の資金形成を目指すため、月々の積立投資信託(つみたてNISAなど)を活用して、少額からリスク分散をしながら積み立てる。
児童手当の活用
児童手当は全額貯蓄や運用に回すことで、教育資金のベースとする。
公的支援制度の利用
高校無償化制度や奨学金制度など、利用可能な支援制度を調べ、計画的に活用。
老後資金の準備
必要な金額
夫婦での老後生活には、月額約20万円~30万円が必要とされ、年金以外に2,000万円程度の貯蓄が必要とされています。
効率的な資金準備方法
iDeCo(個人型確定拠出年金)
毎月拠出金を積み立て、税制優遇を受けながら老後資金を増やすことができる。
NISA(つみたて)
長期の資産運用に適した少額投資非課税制度を利用し、積立投資で複利の効果を狙う。
年金の確認と対策
自分の年金受給額を確認し、不足分を運用や貯蓄で補うためのプランを立てる。
医療保険や介護保険
老後に備え、医療費や介護費用をカバーする保険に加入しておくことで、万が一の事態に備えつつ、老後資金を守る。
こちらの記事では、投資初心者でも実行可能な方法やポイントをわかりやすく解説しています。自身の目標やリスク許容度に合わせて、資産運用に取り組むためのヒントやアイデアを提供しています。ぜひ、参考にしてみてください。
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