老後破産・老後破綻はなぜ起きる
ここ最近、老後破産や老後破綻という言葉が多くのメディアで頻繁に語られています。
老後破産や老後破綻とは、生活保護の基準よりも低い収入で生活している高齢者の状態のことを指しています。
若い人の中では、一部の人の話だと考える人もいるかもしれません。
隠れ貧困と同じく、実はというケースも多くあると思います。
驚くべきは高齢者の約4割が老後破産、老後破綻といわれる状態にあるといわれ、一人暮らしの世帯では約半数が当てはまるそうです。
老後破産・老後破綻の原因
主に老後破産、老後破綻の原因とされることは、まずは年金の少なさがあげられます。
特に国民年金の場合、満額の場合ですが月6.5万円、生活保護より少ないのです。
それだけで生活は困窮を極めます。
もともと国民年金は厚生年金と違って、農家や自営業者のためのもので、定年がなく働きながら受給するという補助的なもの、もしくは子ども世帯と同居する前提での年金制度です。
その分掛け金も少ないのですが、今は貯金のない非正規雇用の人が国民年金に加入しているというケースが多いのも、国民年金の場合に老後破産、老後破綻のが多い原因になっているのではないでしょうか。
年金を破綻させない裏ワザを国は持っている
日本の年金の基礎年金部分の半分は、政府が税金からお金を出しています。
基礎年金は満額で月約6万円ほどですが、その半分の約3万円は、年金保険料ではなく税金です。
このしくみを使えば、破綻しそうになったら、この税金の額を3万円でなく全額の6万円にしてしまえば、破綻はしません。
また、「保険料を上げる」「支給開始年齢を上げる」「支払う年金をカットする」など、さまざまな方法があるので、年金は破綻しないのです。
問題は、年金財政の健全化のために、すでに「保険料を上げる」「支給開始年齢を上げる」「支払う年金をカットする」という方法が取られていることです。
年金保険料は、2004年の年金改革で引き上げが決まり、少しずつ上がってきました。
また、支給開始年齢も、55歳→60歳→65歳と引き上げられていて、すでに70歳支給開始も視野に入っています。
年金の大幅引き下げで現役世代も他人事ではなくなった
2022年4月から、公的年金の支給額は0.4%引き下げられました。
「マクロ経済スライド」の発動こそ見送られたものの、引き下げはこれで2年連続で、しかも、14年の0.7%に次ぐ大幅な引き下げだったのです。
「年金が下がっても、影響を受けるのは高齢者だけ」「高齢者はもらい過ぎだから下げても構わない」と思っている現役世代も、中にはいるかもしれません。
しかしながら、現役世代もいずれは年金を受け取る側になり、年金が減り生活を支えられなくなれば、その「ツケ」は現役世代にもいずれ回ってくるのです。
2040年に15%、2060年には30%の目減り!?
年金では、その時々の経済の実情を反映するように、5年に1度「財政検証」が行なわれています。
これは、年金が、今どうなっているのか、この先どうなりそうなのかという見通しを現状から推測し、結果を公表するものです。
直近では、2019年に行なわれましたが、このデータを見ると、2040年には、今「年金」をもらっている人に比べて15%前後目減りし、2060年には30%ほど目減りしているのではないかと予想されているのです。
「FIRE」という言葉を知っていますか?
FIREは「Financial Independence, Retire Early」を略した言葉で、「経済的自立と早期リタイア」という意味があります。
FIREが目指す「経済的自立」は、一生暮らすのに困らないような大金持ちになることではなく、資産運用をすることで得られる収入(不労所得)によって生活費をまかなうことです。
具体的には、以下の手順で考えます。
①リタイア後の年間の生活費を計算する
②その年間の生活費を、年間の資産運用収入でまかなうことのできる「FIRE」資産総額を計算
③「FIRE」に必要な資産を貯めるために毎月積立投資を行う
FIRE実現のために、必要な資産総額を逆算します。
そして、できるだけ支出を減らし、お金をなるべく資産運用に回します。
そこから得られる収入で早期リタイアを目指すというわけです。
まずはFIREのFI(経済的自立)を目指そう!
FIREするために必要な資産をなるべく短期間で貯めようとすると、生活を切り詰めて毎月の投資額を大きく増やしたり、利回りの高い投資をしたりする必要があります。
ただ、利回りの高い投資は大きなリスクも伴うため、資産が減る可能性も大きくなります。
老後資金の確保をメインとするならば、今の生活や時間を無理に捨ててまでFIREをすべきだとは思いません。
将来、お金で困らないようにするために、FIREの「FI」(経済的自立)を目指してお金を増やすことは大切です。
しかし、「RE」(早期リタイア)まで急いで実現する必要はありません。
FIを目指して投資をしつつ、FIRE前から生活や時間を大切にして、やりたいことや挑戦したいことに「今から」取り組んでいくのがいいのではないかと考えます。
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